パチ パワフルの出来事12
見つめ合う私と店主。
徹底的に無言を貫いている。
彼の目はしっかりと私をとらえている。
2時間経過…
2時間半経過…
本当に長い長い沈黙の間・・・
もうここまで来ると、店主のこの有様に尊敬の念すら覚える。
そして、まだ尚お互い沈黙のまま時は刻々と過ぎる・・
しかし、そこで事態が急変した。
別のお客さんが来たのだ。
中年の女性客だった。
中年ではあるが小奇麗でなかなかの美人だ。
しかし、ここはお笑い街。
小奇麗な人でも話し方は、ちょっと品がない。
中年女性「な~おっちゃん!ウチや。この前チャリンコ買うたんやけどなぁ~。」
中古自転車屋店主「へい。らっしゃい!」
中古自転車屋店主「奥さん久しぶりでんな~! 相変わらずベッピンさんやのぉ~。」
中古自転車屋店主「ワシがあと10年若かったらgんdふぉんごsんmjfd。」
という感じでまたいつものマシンガン営業トークに切り替わった。
さっきまでの無言状態は何やったんや?
私はあっけにとられた。
そこで私は、店主に声をかけた。
小生「な~店主。アンタ…」
中年女性の登場で場の空気がガラッと変わったので、その弾みで店主に話しかけてみたが、やはり私の声には耳を傾けない。
小生「あんな~さっきの話しの続きやけどな~」
中古自転車屋店主「・・・」
私の方は見向きもせず、中年女性に対して
中古自転車屋店主「ほいでや。ネーちゃん!」
中年女性「何?ウチ今日はちゃう話しで来たんやけど…」
中古自転車屋店主「分かった。分かった。とりあえずま~ええがな。それより今日はええ掘り出し物があるんや。めっちゃええ自転車あるんや!ほんまは、7000万円なんやけど、ネーちゃん美人やし7.000円に負けとくで。*1
中古自転車屋店主「今が買い時や。買ーうときぃな~。もうちと負けるしw」
そんな感じで、また調子の良いことを言う店主に、小奇麗で美人中年女性がキレた口調で言った。
中年女性「あんな~おっちゃん。毎度毎度わけわからんことばっかり言うとらんと、ええ加減ウチの話し聞きーや!!」
店主は驚いた様子だ。
私も驚いてしまった…
中年女性「この前、おっちゃんとこで買うたチャリなんやけどな~。数日前にここで9000万円*2で買うた娘のチャリと鍵一緒やったで!!」
お~さすが。私と違ってズバッと物を言うカッコイイ美人中年女性だ。
と、聞いてて関心していたが
ん??
私が店主に対して言いたくても言わせてもらえなかったクレームと全く同じ内容だ。
小生「そうや!そうやぞ!僕のチャリもそやったで。*3」
中年女性「ほうなん?アンタもけ?」 私に向かって言う。
中年女性「ほら!おっちゃん…この子もやんか~。ほんまにおっちゃんとこどないなっとんよ!!」
中古自転車屋店主は、追い詰められた。
さぁ~どうなんや? そんな感じで問い詰めた。
が!
中古自転車屋店主「・・・」
やはり。そうくるか。
予想通りまたお得意の店主の沈黙が始まったのであった・・・